設立14年目を迎えて
- 2016/10/02
- 19:02
当会は、2003年の9月に活動を開始し、今月から設立14年目に入る。
途中、練習場所が使えなくなったり、教室の廃止や合併等もあったりで、会員の皆さんには大変ご迷惑をお掛けしたが、過ぎてみればやはりあっという間である。
その間、一番変わった事は、指導方法だと思う。
設立から10年目位迄は、私が師から学んだ内容をそのままの形で教えていた。
所謂、伝統のマニュアルであり、階梯である。
マニュアルとは基礎であり、その門派の根幹を形成するもので、絶対に削れないものである。当然、今後も当会の練習体系から外れる事はあり得ない。
ところが、10年目を越えたあたりから、このマニュアルだけを指導する事に面白味を感じなくなってきた。
と言うのも、私自身が考えている事や試行錯誤しながら練習している事が、このマニュアルを基準としながらも、ずいぶんと先に進んで行ってしまったからだ。
特にここ数年は、太極拳がどのような過程を得て形成されてきたかに没頭していた。
太極拳を学んでいる方(特に伝統派の方)は、おそらく太極拳の源流に興味を持っていると思う。
私自身も興味を持ち、楊式系の古伝太極拳を鄭志鴻老師に学び、また陳式太極拳も古伝の小架式を学んできた。
では、それ以上に古い太極拳はと言うと、おそらく原型自体はもう残っていないだろう。
一つの仮説を言えば、楊露禅が学んだ時代の太極拳は、もっと長拳に近いものだったように思う。実際、長拳系の拳法を見ていると、技法自体は太極拳とほぼ共通している。
しかし太極拳と長拳を比べると、動きが速い遅いという違いだけではなく、やはり何かが違う。そこに太極拳が形成されてきた謎があると思う。
詳細は長くなるので、実際の教室での指導に譲るが、今後もこのテーマに沿った練習は続けていきたいと思う。
もう1つ指導方法で変わった事は、建設的に指導するようになった事だろうか。
例えば、私はいま、こういう事に閃いて練習している。しかし、それを突然教えても会員の皆さんには意味が分からないだろう。
それを理解してもらうためには、当然その前段階のものを教える事から始めなければならない。つまりマニュアル外のものを教えるにも予習をし、長期的な計画を建てて指導するようになった。
現在指導している基礎拳路や刀術の徒手技法は、当然その先の段階がある。そのために期間やテーマを決めて指導している。
また矛盾するようだが、同時にアドリブで指導する事も多くなってきた。
教室で会員さん達に指導している最中にふと何かに閃き、その動きをしてみる。そして、その直後にその動きを解説したり、指導している事も多くなった。
かつて学んだ師が私にこう仰った事がある。
「太極拳を長く練習していると、外側からではなく(指導を受けるからではなく)、内面から色々な発想というものが生まれる。それは課題や問題点だったり、新しい技法や練習法のヒントだったりする。」
「そして不思議なもので、そういった発想が湧き出てくる頃にはその問題を解決する能力やヒントを実現する能力も身に付いてきている。そうなれば、先生すらも必要なくなる。」
「ただし、そのためには基礎が必要だ。今は基礎を徹底的に身に付けておきなさい。」
実際、その通りで今の私は、何か新しい事を学ばなくとも課題や問題点はどんどん湧き上がり、そして発想も湧き上がってくる。そして誰に強制される訳でもなく、その発想に楽しみながら取り組んでいる。更に調子に乗り過ぎて、BSFまで創始してしまった(苦笑)
それと比べると、古参会員のKさんなどを見ていると、彼には一般の会員さんには教えていない事もすいぶんと教えているが、教えた事を自分にとって都合が良いように変えてしまう。変えてしまうのと発展させるのとでは、同じ変わるでも全く違うものになってしまう。つまり基礎が身に付いていないのだ。それだけ基礎を身に付けるという事は難しい。
最後にもう一つ変った事は、体力や筋力だろう。
さすがに14年も経てば、昔の体力や筋力は無くなってきている。所謂、一般的な体力は落ちてきているだろう。
色々な人と練習をしていれば、中には技の掛かりにくい相手や掛け辛い相手というのもいる。正直な話を言えば、そういう技の掛かりにくい相手には、今までは強引に力で技を掛けていた事もあったと思う。
しかし、その力が無くなってきているので、もう強引に力で技を掛ける事はできない。
今後は、より一層力を抜いた力で技が効くようにしていかなければならないと思う。本当の修業は、これからだろう。
来年からは、対練の練習も増やしていく予定なので、会員の皆さんも、ぜひこのテーマに取り組んで頂きたいと思う。
色々と昔の事を振り返ろうと思ったが、結局、現在進行形の話になってしまった。おそらく15年目も一緒かもしれない。
もう私の中で会を大きくしようとか、組織化を進めたいとかの希望は無くなってしまった。ただし、安売りをするつもりはない。
今後も当会は、太極拳や八卦掌の技術の向上のほうに目を向けていくだろう。言ってみれば、太極拳の職人集団を目指すといったところだろうか(^^;)
2016年10月2日記す

現在、指導している基礎拳路などは、この先の段階のための稽古である。
湧泉会のトップページ へ >>
当ブログの記事が参考になった方は、ブログランキングへのご投票をして頂けると感無量です(^人^)



Copyright(C)2003-2016 福岡伝統太極拳 湧泉会 All rights reserved.
当会の許可無く転載を禁じます。
途中、練習場所が使えなくなったり、教室の廃止や合併等もあったりで、会員の皆さんには大変ご迷惑をお掛けしたが、過ぎてみればやはりあっという間である。
その間、一番変わった事は、指導方法だと思う。
設立から10年目位迄は、私が師から学んだ内容をそのままの形で教えていた。
所謂、伝統のマニュアルであり、階梯である。
マニュアルとは基礎であり、その門派の根幹を形成するもので、絶対に削れないものである。当然、今後も当会の練習体系から外れる事はあり得ない。
ところが、10年目を越えたあたりから、このマニュアルだけを指導する事に面白味を感じなくなってきた。
と言うのも、私自身が考えている事や試行錯誤しながら練習している事が、このマニュアルを基準としながらも、ずいぶんと先に進んで行ってしまったからだ。
特にここ数年は、太極拳がどのような過程を得て形成されてきたかに没頭していた。
太極拳を学んでいる方(特に伝統派の方)は、おそらく太極拳の源流に興味を持っていると思う。
私自身も興味を持ち、楊式系の古伝太極拳を鄭志鴻老師に学び、また陳式太極拳も古伝の小架式を学んできた。
では、それ以上に古い太極拳はと言うと、おそらく原型自体はもう残っていないだろう。
一つの仮説を言えば、楊露禅が学んだ時代の太極拳は、もっと長拳に近いものだったように思う。実際、長拳系の拳法を見ていると、技法自体は太極拳とほぼ共通している。
しかし太極拳と長拳を比べると、動きが速い遅いという違いだけではなく、やはり何かが違う。そこに太極拳が形成されてきた謎があると思う。
詳細は長くなるので、実際の教室での指導に譲るが、今後もこのテーマに沿った練習は続けていきたいと思う。
もう1つ指導方法で変わった事は、建設的に指導するようになった事だろうか。
例えば、私はいま、こういう事に閃いて練習している。しかし、それを突然教えても会員の皆さんには意味が分からないだろう。
それを理解してもらうためには、当然その前段階のものを教える事から始めなければならない。つまりマニュアル外のものを教えるにも予習をし、長期的な計画を建てて指導するようになった。
現在指導している基礎拳路や刀術の徒手技法は、当然その先の段階がある。そのために期間やテーマを決めて指導している。
また矛盾するようだが、同時にアドリブで指導する事も多くなってきた。
教室で会員さん達に指導している最中にふと何かに閃き、その動きをしてみる。そして、その直後にその動きを解説したり、指導している事も多くなった。
かつて学んだ師が私にこう仰った事がある。
「太極拳を長く練習していると、外側からではなく(指導を受けるからではなく)、内面から色々な発想というものが生まれる。それは課題や問題点だったり、新しい技法や練習法のヒントだったりする。」
「そして不思議なもので、そういった発想が湧き出てくる頃にはその問題を解決する能力やヒントを実現する能力も身に付いてきている。そうなれば、先生すらも必要なくなる。」
「ただし、そのためには基礎が必要だ。今は基礎を徹底的に身に付けておきなさい。」
実際、その通りで今の私は、何か新しい事を学ばなくとも課題や問題点はどんどん湧き上がり、そして発想も湧き上がってくる。そして誰に強制される訳でもなく、その発想に楽しみながら取り組んでいる。更に調子に乗り過ぎて、BSFまで創始してしまった(苦笑)
それと比べると、古参会員のKさんなどを見ていると、彼には一般の会員さんには教えていない事もすいぶんと教えているが、教えた事を自分にとって都合が良いように変えてしまう。変えてしまうのと発展させるのとでは、同じ変わるでも全く違うものになってしまう。つまり基礎が身に付いていないのだ。それだけ基礎を身に付けるという事は難しい。
最後にもう一つ変った事は、体力や筋力だろう。
さすがに14年も経てば、昔の体力や筋力は無くなってきている。所謂、一般的な体力は落ちてきているだろう。
色々な人と練習をしていれば、中には技の掛かりにくい相手や掛け辛い相手というのもいる。正直な話を言えば、そういう技の掛かりにくい相手には、今までは強引に力で技を掛けていた事もあったと思う。
しかし、その力が無くなってきているので、もう強引に力で技を掛ける事はできない。
今後は、より一層力を抜いた力で技が効くようにしていかなければならないと思う。本当の修業は、これからだろう。
来年からは、対練の練習も増やしていく予定なので、会員の皆さんも、ぜひこのテーマに取り組んで頂きたいと思う。
色々と昔の事を振り返ろうと思ったが、結局、現在進行形の話になってしまった。おそらく15年目も一緒かもしれない。
もう私の中で会を大きくしようとか、組織化を進めたいとかの希望は無くなってしまった。ただし、安売りをするつもりはない。
今後も当会は、太極拳や八卦掌の技術の向上のほうに目を向けていくだろう。言ってみれば、太極拳の職人集団を目指すといったところだろうか(^^;)
2016年10月2日記す

現在、指導している基礎拳路などは、この先の段階のための稽古である。
湧泉会のトップページ へ >>
当ブログの記事が参考になった方は、ブログランキングへのご投票をして頂けると感無量です(^人^)



Copyright(C)2003-2016 福岡伝統太極拳 湧泉会 All rights reserved.
当会の許可無く転載を禁じます。
- 関連記事
-
-
4月2日 国際伝統武術交流会へ参加 2017/04/03
-
一年振りの鄭志鴻老師 2016/11/20
-
設立14年目を迎えて 2016/10/02
-
2014年を振り返って… 2015/01/01
-
幻のバスをついに発見! 2013/10/12
-
スポンサーサイト