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陳式太極拳 老架式について

乱扎衣
陳式太極拳 乱扎衣(老架式)

若い頃から陳式太極拳への憧れは強かった。

理由は、故 松田隆智氏の書籍などの影響もあったからだろうか、武術としての太極拳を学びたかったからだと思う。

現在の私は、古伝の小架系を学ぶ立場であるが、それ以前は主として老架系を学び練習していた。通える範囲の教室に通っていた事もあるし、陳氏太極拳を学んでいる人を探しては、若い頃から随分と人を訪ねて回った。中国から著名な老師が来日すると聞けば、高い講習費と交通費を払って習いに行ったし(昔は現在と比べて、本当に航空券代が高かった)、福岡で良い先生が見つからなければ、関西、中京、関東と20代の頃は師を求めて彷徨った。

途中、鄭先生やN師父の指導を受けながらも、陳氏太極拳への憧れは消えなかった。(お二人の名誉のために言っておきますが、鄭先生やN師父の指導に不満があった訳ではなく、やはり学んでみたいという欲求が強かった。またN師父の場合は、太極拳を極めたいなら陳氏太極拳も研究してみなさいと奨励して頂いた)

30代に入る頃には老架系の幾系統かの套路を覚え、各系統を比較研究し、それなりに練習もしていたが、それでも納得のいく陳氏太極拳の練習体系とは出会えなかった。(正確に言えば、お一人関東地区に学んでみたい方がいらっしゃったのだが、諸事情により途中で学べなくなった)

30代の半ばになっても、小架系で有名な先生のお弟子さんの講習会に継続参加したり、またその小架系の先生の講習会を受けに関東地区まで行ったりもしていた。

30代の後半、これはやはり台湾のある系統の陳氏太極拳を学びに行くしかないかなと考えていた頃、古伝の小架系の伝人と出会い、その指導を受ける事となる。

それからの約5年間は、小架系のみを練習し、老架は指導する事も練習する事も封印していた。理由は、似て非なるもの(近しいもの)を新しく学ぶ際は、以前の知識や動きを一旦捨ててしまわないと、以前の癖が抜けず、何ものでもなくなってしまうからである。

ところが、昨年位からどうも老架が気になりだした。

ある武器術を学んでいる時に、この動きは以前に学んだ事がある。そう感じた。

そう、刀術の動きと老架の動きは似ているのである。いや本質的には全く同じだ。そう体が覚えていた。

正確に言えば、刀術そのものでは徒手術には応用できないのであるが、体のある部分の操作を加える事により、徒手術への応用が可能となる。

それに気付いてからは、徒手術と武器術の比較研究に没頭した。ちょうど同時期に梨花槍を学び始めた事も幸いしたし、昔学んでいた棍術なども思い出しながら練習した。

現在、他派で陳式太極拳を学んでいる方々は、どのような疑問をお持ちだろうか。また、その疑問は解消していけそうだろうか。

私自身が陳式の老架を学んでいた際に抱いていた疑問には、以下のようなものがある。

なぜ老架はあのような立ち方をするのか?(陳式の老架は、他の太極拳とは相容れない独特の立ち方を用いる)

なぜあのような動きを套路として表現したのか?(現在、伝わっている老架のほとんどが三尖相照を外見上は表現しないので、武術としての動きに見えず、また用法例も近接技法を中心としている)

どういった戦闘法や戦術を用いるのか?(推手から近接技法への応用は、一般公開されているが、離れた距離から推手の状態までをどう攻略するのか)

などである。そういった老架に長年抱いていた疑問が武器術との比較研究により、少しずつ解消されだした。

もちろん小架を学んだ事も良い影響を与えただろうし、八卦掌の影響もあるだろう。ただし、小架と老架は同根の拳法から発生した事は間違いないが、やはり根幹の部分が異なるように思うし、八卦掌とは戦術や歩法が異なる。また楊式太極拳が老架から発生した理由と言うものも分かってきた。

はるか遠くの山頂に求めていた宝が、20年以上経って身体の中から現れ出したという事だろうか。


陳式太極拳 金剛搗碓(老架式)
金剛搗碓1

金剛搗碓2

金剛搗碓3

金剛搗碓4
陳式太極拳を象徴する動作である金剛搗碓。その過渡動作は、刀術の基本技法である進歩撩刀とほぼ同様である。

撩刀1
下から上に切り上げる動作である撩刀。

撩刀2

老架系の動きに関しては、現在も更に解明が進み、来年以降に基本技法、套路、散手技法と、ある程度体系を揃えて指導していきたいと思っている。また単に指導するだけではなく、会員の皆さんと共に研究を進めたい。今更、系統にこだわる気はないし、当会の老架は、今後、独自の発展をしていく事になりそうだ。


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