推手 改訂
- 2011/03/25
- 14:22
推手について1

今回は推手についてである。
太極拳を学んでいる方なら、当然聞いたこともあるだろうし、見たこともあるだろう。
二人一組で片手なり両手を接触させて、腕を回しながら押し合っている練習である。
では、一体何のためにこのような練習を行なっているのであろうか。
推手の練習法自体は、中国武術の多くの流派で採用されている搭手という手を接触した状態から始める自由組手の稽古法から発展したものであると思う。搭手の稽古法から、より安全性を重視し、また発展の過程で太極拳独自の考え方や技術が加算され、独特の対練稽古法として確立されてきたのだろう。
類書によると、太極拳を学ぶ者は、この推手の練習を十分に行ない。粘勁、聴勁、化勁等の能力を養うとの事である。(○○勁などの用語は各自ネットで検索して頂きたい)
なるほど、確かにそのとおりである。
太極拳というものは、相手と接触して粘り付き、相手の力に応じて変化し、相手の力を無力化して相手を制御する拳法である。では、どうやって相手に接触するのかというつっこみは、ここでは一旦置いておいて(笑)
一般的な解釈は、こちらもネットで検索して頂くなり、DVDを見るなり、本で調べるなどして頂くとして、今回は、当門の推手の定義についてお話したいと思う。というのも、当門の推手の位置づけもそうであるが、当門の推手の目的自体が他流とは随分違うと思われるからである。
当会の推手の位置付けの①としては、まず自己の動きを他者の力に左右されないということである。つまり、相手に接触するとか相手に粘るとか、相手の力を無力化するという以前に、相手から力を加えられても、その力に左右されずに自己の動きが行なえるかどうかということである。捨己従人を定義とする門派からみれば、ある意味正反対という事になる(実は最終的には一致するのだが…)
とはいえ、実際に推手を行なった経験のある方は分かると思うが、実際に相手と手を触れ、相手に押されてみると、途端に肩が力んでしまって、とてもではないが、相手の力に左右されずに動くことなどできないことがわかるだろう。
かといって、お互いに力を抜いてくるくる回しているだけでは、何の役にも立たないのも分かるだろう。
ここで基本功や単操などの一人稽古の意味が出てくる。
要するに相手の力に対して左右されない力(勁力)が必要になってくるわけである。
当門では推手用の単操がいくつか伝わっており、代表的ものは直線上で行う単推掌、平円の場合は推磨掌、螺旋円の場合は大纏絲、立円の場合は、倒捲肱(一般の倒捲肱とは動作が異なる)や托槍式といったものがある。
これらの単操を一人稽古で徹底して行い、その動作に相手から圧力をかけてもらい、結果として相手からの力に左右されない力(勁力)を養成していく。ちなみにN師父はヤー(圧)の養成と言っていた。
言い換えれば、勁力というものは、推手などの対練を無くしては修得が難しいという事である。当たり前だが、どんなに一人稽古で自分は勁力を見につけたと思っていても、対練で実証しなければ、結局は机上の空論ということになる。勁力の養成には、単練と同時に推手などの対練が必要不可欠であることを重ねて申し上げたい。
このように推手対練で得た感覚を基に単練(一人稽古)を徹底的に行うことで、相手の力に左右されない力(勁力)が養成でき、また身体自体も徐々に変わってくる。そしてその結果として、いわゆる順勢を取れるようになってくる。
順勢とは、自分が有利な姿勢・状態・位置取りのことである。
推手の上手い人と手を合わせると、手を触れた瞬間にどうもやり辛いというか、自分が既に押し込まれているような感じがするでしょう。あれは相手に順勢を取られているということです。
順勢については、細かく説明すれば色々な原理もあるのだが、やはり経験よる自信といったものが姿勢に現れてくることが大きいと思う。そして太極拳における対練のおおよそ全ては、この順勢が取れるかどうかで有利不利が決まるといっても過言ではないと思う。
今回の連載では、当会の推手を含め対練の稽古法について、文章での表現には限界があるが、公開できる範囲で公開していきたいと思っているので期待して頂きたい。
次回は当門の推手の定義の②として、当門における化勁の定義について紹介する予定です。
2011-03-25 記
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今回は推手についてである。
太極拳を学んでいる方なら、当然聞いたこともあるだろうし、見たこともあるだろう。
二人一組で片手なり両手を接触させて、腕を回しながら押し合っている練習である。
では、一体何のためにこのような練習を行なっているのであろうか。
推手の練習法自体は、中国武術の多くの流派で採用されている搭手という手を接触した状態から始める自由組手の稽古法から発展したものであると思う。搭手の稽古法から、より安全性を重視し、また発展の過程で太極拳独自の考え方や技術が加算され、独特の対練稽古法として確立されてきたのだろう。
類書によると、太極拳を学ぶ者は、この推手の練習を十分に行ない。粘勁、聴勁、化勁等の能力を養うとの事である。(○○勁などの用語は各自ネットで検索して頂きたい)
なるほど、確かにそのとおりである。
太極拳というものは、相手と接触して粘り付き、相手の力に応じて変化し、相手の力を無力化して相手を制御する拳法である。では、どうやって相手に接触するのかというつっこみは、ここでは一旦置いておいて(笑)
一般的な解釈は、こちらもネットで検索して頂くなり、DVDを見るなり、本で調べるなどして頂くとして、今回は、当門の推手の定義についてお話したいと思う。というのも、当門の推手の位置づけもそうであるが、当門の推手の目的自体が他流とは随分違うと思われるからである。
当会の推手の位置付けの①としては、まず自己の動きを他者の力に左右されないということである。つまり、相手に接触するとか相手に粘るとか、相手の力を無力化するという以前に、相手から力を加えられても、その力に左右されずに自己の動きが行なえるかどうかということである。捨己従人を定義とする門派からみれば、ある意味正反対という事になる(実は最終的には一致するのだが…)
とはいえ、実際に推手を行なった経験のある方は分かると思うが、実際に相手と手を触れ、相手に押されてみると、途端に肩が力んでしまって、とてもではないが、相手の力に左右されずに動くことなどできないことがわかるだろう。
かといって、お互いに力を抜いてくるくる回しているだけでは、何の役にも立たないのも分かるだろう。
ここで基本功や単操などの一人稽古の意味が出てくる。
要するに相手の力に対して左右されない力(勁力)が必要になってくるわけである。
当門では推手用の単操がいくつか伝わっており、代表的ものは直線上で行う単推掌、平円の場合は推磨掌、螺旋円の場合は大纏絲、立円の場合は、倒捲肱(一般の倒捲肱とは動作が異なる)や托槍式といったものがある。
これらの単操を一人稽古で徹底して行い、その動作に相手から圧力をかけてもらい、結果として相手からの力に左右されない力(勁力)を養成していく。ちなみにN師父はヤー(圧)の養成と言っていた。
言い換えれば、勁力というものは、推手などの対練を無くしては修得が難しいという事である。当たり前だが、どんなに一人稽古で自分は勁力を見につけたと思っていても、対練で実証しなければ、結局は机上の空論ということになる。勁力の養成には、単練と同時に推手などの対練が必要不可欠であることを重ねて申し上げたい。
このように推手対練で得た感覚を基に単練(一人稽古)を徹底的に行うことで、相手の力に左右されない力(勁力)が養成でき、また身体自体も徐々に変わってくる。そしてその結果として、いわゆる順勢を取れるようになってくる。
順勢とは、自分が有利な姿勢・状態・位置取りのことである。
推手の上手い人と手を合わせると、手を触れた瞬間にどうもやり辛いというか、自分が既に押し込まれているような感じがするでしょう。あれは相手に順勢を取られているということです。
順勢については、細かく説明すれば色々な原理もあるのだが、やはり経験よる自信といったものが姿勢に現れてくることが大きいと思う。そして太極拳における対練のおおよそ全ては、この順勢が取れるかどうかで有利不利が決まるといっても過言ではないと思う。
今回の連載では、当会の推手を含め対練の稽古法について、文章での表現には限界があるが、公開できる範囲で公開していきたいと思っているので期待して頂きたい。
次回は当門の推手の定義の②として、当門における化勁の定義について紹介する予定です。
2011-03-25 記
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