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「信」を築く。

前回、「仁」、「義」、「礼」、「智」、「信」について紹介し、その中でも特に「義」について詳しく説明した。

ただ最終的にもっとも重要になってくるのは、やはり「信」という事になってくる。

なぜなら最終的に師に対しての「信」信用を築けなければ、やはり指導の制限が付き、弟子になることは難しいと思う。言い換えれば、「仁」にしろ「義」にしろ「礼」にしろ、この「信」を得るために必要なことだと言える。

では、どうすれば師からの「信」を得られるのだろうか。

以前掲載した記事を参考に各自考えてもらいたい。

中国武術の学び方⑥ 入門後の心得。
中国武術の学び方⑦ 中国武術界特有の習慣

とはいえ、この「信」を得るということも、功夫のレベルを少しずつ積み重ねていくのと同じで、すぐに先生から信用してもらえるものではないと思う。

しかし、ほんの些細なことが積み重ねとなり、結果に繋がっていくことは間違いないだろう。

例えば、欠席の連絡をするにしろ。「~の理由で休みます。」と自分で言い切ってしまうのと「~の理由で、申し訳ありませんが、お休みさせて頂いてよろしいでしょうか。」とお伺いをたてるのでは、随分印象が違うだろう。

また年賀状を出すにしても、ただ例文を印刷しただけのものを送っていて、果たして特別な存在としての印象を持ってもらえるだろうか。

あるいは、先生から食事に誘われたとする。当然「行きます。」と答える人と断る人がいるだろう。しかし毎回断っていれば、ついには誘われなくなってしまう。つまりは、先生との個人的な付き合いを自ら絶ってしまうことになる。(ちなみに、私はほとんど食事に誘うことはないので、ご安心を)こういった単純なことの積み重ねが結果に繋がると考える人はいないだろう。

ちなみに私と某老師の場合も、最初は私も彼のセミナーの一受講者に過ぎなかった。しかし、初めて見た瞬間に直感的にこの先生はすごいなと思った。そして、この先生の技術は何としても学ばなければいけないと思った。だから、遠方で開催される彼のセミナーには通いまくった。私も一門を率いている人間である。普通はありえないだろう。しかし躊躇は全くなかった。この世界でも本物と出会える機会は、本当に少ない。この機会を逃したら、このレベルの武術家とはそうそう出会えないと思った。

遠方でのセミナーだから、講習費以外にも宿泊費や交通費も当然かかる。2回も通えば、皆さんの1年分の月謝くらいは簡単に飛んでいってしまう。それでも通いまくった。老師の歓迎会があれば、地方からでも参加した。言葉は通じないが、とにかく顔を覚えてもらうのに必死だった。最初は遠くから通ってくる熱心な人だな位には思ってくれていたと思う。ただ最初だけ熱心な人というのはいくらでもいるだろう。実際に馬貴派のセミナーでも1クールだけ熱心に通う方も多い。しかし2クール3クールと続けてとなると、徐々に顔を見かけなくなる。やはり最も重要な事は、いかに情熱を継続して示せるかだと思う。

そうして通っているうちに老師に「メールを送ってくれないか?」と言われた。言われた通り、メールを送る。すぐに返事が返ってきた。たかがメールだが、このメールによって言葉が通じない者同士の間でコミュニケーションが取れるようになった。つまり老師との個人的な付き合いが始まったと言うことだ。このことは非常に大きかったと思う。彼が英語が堪能なことも幸いした。こちらは英語も堪能ではないが、必要に迫られれば、やはり勉強はするものだ。一年間、英会話教室にも通った(本当は中国語を学べばよいのだが…)メールを送るにしても、たった10行ほどの英文でも失礼はないかと何度も翻訳する。時にはそれこそ半日がかりである。一度でも失礼をすれば、信用を失うことになりかねない。たかがメールだが、ある意味真剣勝負である(苦笑)何度も翻訳し、必ず全ての単語に自分でも納得してから送信する。

そうした積み重ねをしているうちに、幾度か個人指導をして頂けるようになった。少しはものになりそうな奴だと思って頂けているのかも知れない。また少しは信用を築けて来たのかもしれない。会話の面でも、昨年末に東京で個人指導をして頂いた際は、八卦掌に関してはおおよそ意味が分かり意志も通じたと思う。

そうしているうちに、この太宰府でのセミナーの開催を頼まれるようになった。セミナーの開催準備、そして開催期間中は全く気が抜けない。おそらく会員の誰かに代わりにやってくれと頼んでも誰もやらないだろう。精神的な疲労も大きい。正直、参加者が思うように集まらない時や通訳が決まらない時などは、もう止めてしまおうと思う事もある。しかも、私は手配料などは一切受け取っていないし、私自身も受講料を支払って、セミナーを受講している。全くの無償の奉仕である。それでも、やはり老師に選ばれ頼まれた事に対しての喜びや誇りがあるし、参加した人たちが喜んでくれて、この太宰府にも本物の中国武術が根付いてくれればと思う。

私自身、技術的にも人間的にもまだまだこれから本当の審査を受ける立場だと思う。色々と試練もあるだろうし、場合によっては、一門にとって必要のない人間と判断されてしまう事もあるかもしれない。やはりそれだけ厳しい世界でもある。しかし、それでも自分で選んだ道である。この貴重な出会いに対して、今後も「礼」や「義」を重んじ、「信」を積み重ねて行きたいと思う。

2011-01-14 記

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