最大の難関② 環境の変化②
- 2011/01/01
- 00:25
今回は、前回紹介した中国武術の学び方⑩最大の難関②環境の変化①の続編である。皆さんが修行過程で起こり得る環境の変化を紹介しておくので参考にしてもらいたい。
④転勤や転居
これはまさに武術を続けていく上で、一番の難事だと思う。というのも、自分が通っていた道場に通えない場所に転居してしまえば、当たり前だが道場に通えなくなってしまうからである。
しかし、私自身の経験で言えば、実はこういった環境の変化もそれほど大した事ではない。むしろ自分が通っている道場に一生通い続ける事ができる人の方が少数だろう。実際、私自身も現在は距離のある離れた老師に師事しながら武術を学んでいる。
では具体的に、このような場合、どうやって武術を学んでいくのだろうか。
結論を言えば、まず自分が師事している先生に転居の理由を述べ、今までのように毎回稽古に参加することはできないが、今後も武術の練習を続けて行きたい旨を相談してみるとよいだろう。その道場の在籍中に、よほどの恨みをかっていなければ、ダメだという先生はいないだろう。後は、GWや盆休み、正月休み等の連休を利用したり、出張で近くに寄った際に稽古に参加させてもらうなどして学んでいけば良い。基本的に遠方から道場へ通う方も同じだといえる。
ただし、許可を得てからは、まさに自分次第である。
先生の方も相談されてすぐには信用してくれていないだろう。というのも実際に転居後も道場に通って来る者などそうそうはいないからである。また修行者自身も先生や兄弟弟子達のいない中での稽古は寂しいものであろう。挫折する者が多いのも頷ける。
しかし、そういった環境の中で頑張るからこそ、またそうそう転居後も通ってくる者がいないからこそ、実際に通い続けることで、師の信用を得られやすいという一面もある。要は距離があろうとも本気で学んでいきたいという気持ちが伝わるかどうかである。ある意味、ピンチはチャンスであると言える。
転居後も頑張って通い続ければ、先生の方でもあなたが来るのを楽しみに思ってくれるだろうし、あなた用の練習カリキュラムを用意してくれるかもしれない。つまり次回来る時までの課題や宿題をどっさり準備してくれるだろう。
また一人で練習を続けるのは大変だろうから、向こうで仲間を作りなさいと言ってくれるかもしれない。仲間を作ってよいとは、今まで教えた内容であれば教えても良いということである。つまり一人で通ってくるには、交通費も多大にかかって大変だろうから、向こうで仲間を作って逆に先生を呼びなさいということでもある。先生の交通費を仲間内で分割すれば一人で通っていた時よりも負担は減るだろう。また利益が出れば先生に謝礼として渡すこともできる。何より練習仲間ができ、また指導者としての自覚も目覚めれば功夫のレベルは必然的に上がっていくだろう。
実際、在日の中国人の先生方の多くも同じやり方で学んでいる。日本で教室を開き、仲間を集めて先生を日本に呼んだり、逆に生徒達を引き連れて中国へ学びに行ったりしている。国が違っても学べるのだから日本国内においてはどうとでもなるだろう。やはり最終的には本人の気持ち次第である。
「義」を外れた行為。
この項の最後に、同じように転居などの理由により道場に通えなくなった場合などに、逆に好ましくない例をいくつか挙げておこう。
これは私の兄弟弟子が実際に言っていた事だが、先生に対して自分の転居先に良い先生はいないかと尋ねていた。傍から聞いていても、先生が少し気分を害されたのを感じた。
基本的に一門を離れて他の先生に就くというのは、自分から一門と縁を切るということである。自分から縁を切った人間に本当に良い先生などを紹介してくれるだろうか。実際にその転居先に先生の兄弟弟子などがいれば紹介してくれるかもしれないが、やはり礼儀を外れた行為だと思われる。
他門派との並行学習については、双方の門派が認めている場合であれば、礼儀上は問題ないとは思うが、基本的によほどしっかりとした基盤が自分自身に身に付いていないと並行しての習得は難しいと思う。やはり門派によって姿勢などの要訣も違うし、力の出し方(勁道)が異なるため、よほどスイッチの切り替えが上手くできなければ、結果としてごちゃまぜになってしまい、何の拳法だか分からなくなる。
実際、私自身も他門派との並行学習を希望する者を指導した経験があるが、要訣や修正点が全く異なっており、指導の限界を感じた。礼儀上でも技術的にも、少なくとも初心者のうちは、一門派に専修したほうが良いだろうと思う。
またひどい話だと、自分が学んでいた先生を飛び越えて、その上の先生に直接就こうとする者もいるようだ。まぁ自分が習っている先生より、その上の先生に直接就いたほうが早く上手くなるだろうとの安易な気持ちからだろう。しかし、こういった行為は後に自分の首を絞めることになる。自分が習っていた先生の面子を潰している行為だから、元々習っていた先生とは最悪の関係になるだろう。また上の先生にそういったいきさつを知られてしまえば、やはり冷遇されることになる。なぜなら、そういう人物は同じような行為を今後も繰り返す可能性が高いと思われてしまうからだ。
こういった「義」を外れた行為は、最終的に自分自身の修行の妨げとなってしまう。次回は、この「義」というものにも少し触れてみたい。
2011-01-01 記
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④転勤や転居
これはまさに武術を続けていく上で、一番の難事だと思う。というのも、自分が通っていた道場に通えない場所に転居してしまえば、当たり前だが道場に通えなくなってしまうからである。
しかし、私自身の経験で言えば、実はこういった環境の変化もそれほど大した事ではない。むしろ自分が通っている道場に一生通い続ける事ができる人の方が少数だろう。実際、私自身も現在は距離のある離れた老師に師事しながら武術を学んでいる。
では具体的に、このような場合、どうやって武術を学んでいくのだろうか。
結論を言えば、まず自分が師事している先生に転居の理由を述べ、今までのように毎回稽古に参加することはできないが、今後も武術の練習を続けて行きたい旨を相談してみるとよいだろう。その道場の在籍中に、よほどの恨みをかっていなければ、ダメだという先生はいないだろう。後は、GWや盆休み、正月休み等の連休を利用したり、出張で近くに寄った際に稽古に参加させてもらうなどして学んでいけば良い。基本的に遠方から道場へ通う方も同じだといえる。
ただし、許可を得てからは、まさに自分次第である。
先生の方も相談されてすぐには信用してくれていないだろう。というのも実際に転居後も道場に通って来る者などそうそうはいないからである。また修行者自身も先生や兄弟弟子達のいない中での稽古は寂しいものであろう。挫折する者が多いのも頷ける。
しかし、そういった環境の中で頑張るからこそ、またそうそう転居後も通ってくる者がいないからこそ、実際に通い続けることで、師の信用を得られやすいという一面もある。要は距離があろうとも本気で学んでいきたいという気持ちが伝わるかどうかである。ある意味、ピンチはチャンスであると言える。
転居後も頑張って通い続ければ、先生の方でもあなたが来るのを楽しみに思ってくれるだろうし、あなた用の練習カリキュラムを用意してくれるかもしれない。つまり次回来る時までの課題や宿題をどっさり準備してくれるだろう。
また一人で練習を続けるのは大変だろうから、向こうで仲間を作りなさいと言ってくれるかもしれない。仲間を作ってよいとは、今まで教えた内容であれば教えても良いということである。つまり一人で通ってくるには、交通費も多大にかかって大変だろうから、向こうで仲間を作って逆に先生を呼びなさいということでもある。先生の交通費を仲間内で分割すれば一人で通っていた時よりも負担は減るだろう。また利益が出れば先生に謝礼として渡すこともできる。何より練習仲間ができ、また指導者としての自覚も目覚めれば功夫のレベルは必然的に上がっていくだろう。
実際、在日の中国人の先生方の多くも同じやり方で学んでいる。日本で教室を開き、仲間を集めて先生を日本に呼んだり、逆に生徒達を引き連れて中国へ学びに行ったりしている。国が違っても学べるのだから日本国内においてはどうとでもなるだろう。やはり最終的には本人の気持ち次第である。
「義」を外れた行為。
この項の最後に、同じように転居などの理由により道場に通えなくなった場合などに、逆に好ましくない例をいくつか挙げておこう。
これは私の兄弟弟子が実際に言っていた事だが、先生に対して自分の転居先に良い先生はいないかと尋ねていた。傍から聞いていても、先生が少し気分を害されたのを感じた。
基本的に一門を離れて他の先生に就くというのは、自分から一門と縁を切るということである。自分から縁を切った人間に本当に良い先生などを紹介してくれるだろうか。実際にその転居先に先生の兄弟弟子などがいれば紹介してくれるかもしれないが、やはり礼儀を外れた行為だと思われる。
他門派との並行学習については、双方の門派が認めている場合であれば、礼儀上は問題ないとは思うが、基本的によほどしっかりとした基盤が自分自身に身に付いていないと並行しての習得は難しいと思う。やはり門派によって姿勢などの要訣も違うし、力の出し方(勁道)が異なるため、よほどスイッチの切り替えが上手くできなければ、結果としてごちゃまぜになってしまい、何の拳法だか分からなくなる。
実際、私自身も他門派との並行学習を希望する者を指導した経験があるが、要訣や修正点が全く異なっており、指導の限界を感じた。礼儀上でも技術的にも、少なくとも初心者のうちは、一門派に専修したほうが良いだろうと思う。
またひどい話だと、自分が学んでいた先生を飛び越えて、その上の先生に直接就こうとする者もいるようだ。まぁ自分が習っている先生より、その上の先生に直接就いたほうが早く上手くなるだろうとの安易な気持ちからだろう。しかし、こういった行為は後に自分の首を絞めることになる。自分が習っていた先生の面子を潰している行為だから、元々習っていた先生とは最悪の関係になるだろう。また上の先生にそういったいきさつを知られてしまえば、やはり冷遇されることになる。なぜなら、そういう人物は同じような行為を今後も繰り返す可能性が高いと思われてしまうからだ。
こういった「義」を外れた行為は、最終的に自分自身の修行の妨げとなってしまう。次回は、この「義」というものにも少し触れてみたい。
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